ツキ呑み⑦ 「ライブとリズムとインストラクターの巻」

 

呑みたい気分でツキイチエッセイ

 「ライブとリズムとインストラクターの巻」

 

先日出演させていただいたリーディングライブで、「朗読は音楽」であり「ボサノヴァのよう」だととなえた方がおられました。なるほどボサノヴァかぁと思いました。すみません知ったかぶりです。ボサノヴァってどんなんだっけとYou Tobeで聴いてみました。なるほど確かに語りのような歌でした。夜のしじま。琥珀色のスコッチとボルドー色のワイン。歌の世界にじりじりといざなわれる感覚も朗読に通ずるような気がします。

 

ボサノヴァとワインの関係性はともかく、朗読を音楽になぞらえられてワタシはちょっとドキッとしました。このところ朗読に際して「リズムをとらない」ことを心がけているからです。

 

自分の朗読を録音したものを聴いていて居眠りしてしまうことがあります。ありますというか、たいてい寝ます。なぜだろうと考えてみたところ、どうやら無意識にリズムをとっているせいで単調な読み方になり、結果退屈してしまうのだろうと思い至りました。

 

文章を書くときはリズムを意識します。黙読の際にひっかからないよう、読み解く労力がかからないようにと考えます。書き上げた文章を音読すると、黙読では気づかなかったひっかかりが必ず出てきます。その都度直しまくるようなことは最近はしませんが、基本、文章は音読を経てから仕上げるべきと考えています。

 

けれど文章にはそうした「ひっかかり」もまた必要であり、朗読の際にはそこが味わいとなるのでしょう。眠くならない朗読。聴けば情景が浮かびあがる朗読。そんな朗読ができたらいいんですが。

 

できたらいいんですがなどと呑気なセリフを書きながら告知させていただくのも気が引けるのですが、このたび「日本朗読検定協会認定2級朗読インストラクター」の資格を取得いたしました。大丈夫です、朗読検定の基本はしっかり学び直しました。

 

インストラクターという響きに浮かれたといいますか、自覚が芽生えたと申しますか、早速午前中ぐだぐだと横になっていた我が子に向かって発声練習を試してみました。

 

まず、「あ」と言ってもらいました。大きな声が楽にでる音だからです。ところがぐっだぐだな我が子からは、「あ」すら出ません。「……ぁ」と息を吐くばかり。身体がねじれているせいです。身体を一度しっかり伸ばして喉が開いた「あ」を出せば元気も出るのになあ、と思いながらしばらく二人で「あ」の発声をしていたら、少しは身体が伸び、声も出てきました。

 

次は、「へー」。何かにものすごく感心・感動した時の「へぇー」という発声をすると、自然にお腹が締まって腹筋が使われます。「腹筋腹筋、美容体操だと思って、『へぇぇぇー』」とまたしばらく頑張っていたら、元気が出たのか嫌になったのか、とにかくぐだぐだは解消し、日常生活を開始していました。

 

こうしてふとした瞬間に発声の力を試す知恵がついたことを喜ばしく思ったインストラクター一日目でしたが、今後も、声を出すことで意欲が生まれ、仲間ができることで生き甲斐が生まれ、心身を健康に保ち人生を謳歌する情熱が生まれるということを信じ、声の力を求めている方のお役に立つ形を模索しながら活動していきたいと思います。

 

 2016/12/5